TOOLS & FIELD NOTES / AI DEVELOPMENT

CodexとClaude Code、
どちらが優秀かではなく、
どこでぶつけるか

実装するAIと、構造を疑うAI。同じ「山根の脳」を渡し、互いにレビューさせることで、作業速度よりも考え方が深まりました。

2026.07.30 / Hironori Yamane

人間の判断基準を中心に、CodexとClaude Codeが相互レビューするイメージ

「CodexとClaude Codeは、どちらが優秀ですか」

AIを使っていると、よく聞かれます。正直、私はこの質問にあまり興味がありません。

知りたいのは、どちらが勝つかではなく、それぞれに何を任せ、どこで意見をぶつけると、自分一人ではたどり着けない考えが生まれるかです。

現在は、主にCodexを実装、Claude Codeを整理やレビューに使っています。ただし、単純に作業を分担しているわけではありません。

両方に私の考え方や判断基準を渡し、お互いの仕事をレビューさせています。同じ「山根の脳」を持たせているのに、出てくる意見や進み方は少しずつ違う。その違いがぶつかったときに起きる化学反応を期待して使っています。

実装するCodex、立ち止まるClaude Code

Codexには、主に手を動かしてもらいます。コードを書く、ファイルを修正する、テストを実行する、差分を確認する。考えたことを、実際に動くものへ変える役割です。

一方で、Claude Codeには、構造の整理やレビューを任せることが多いです。いま何を作ろうとしているのか。前提はそろっているか。仕様と実装がずれていないか。その判断は、誰の都合を優先しているのか。

作業が前へ進むほど見えにくくなる全体像を、少し離れた場所から見てもらいます。

Codexが実装中に見つけた矛盾をClaude Codeへ返し、Claude Codeが整理した論点をCodexへ戻す。行ったり来たりしながら、当初の考えを更新していきます。

CodexとClaude Codeの役割分担と相互レビューを示す図
図1:共通の判断基準を渡しながら、異なる役割と個性を残す。

同じ私の考えを渡しても、同じ答えにはならない

両方のAIには、私が仕事で重視している考え方を渡しています。

同じ前提を渡しているのであれば、同じ答えが返ってきそうなものです。しかし、実際には違います。

Codexは、実装を前へ進める中で具体的な問題を見つけます。Claude Codeは、全体を見渡しながら前提や論理の抜けを見つけます。同じ価値観を持っていても、立っている場所が違う。

これは、AI同士で正解を決めるための多数決ではありません。異なる見方を衝突させ、自分の考えを深めるための仕組みです。

Yamane OSで、AI同士をレビューさせてみた

この使い方が最もよく表れたのが、Yamane OSの安全モデルを作ったときです。

Yamane OSは、複数のAIエージェントが役割分担しながら、案件を整理し、検証し、実装し、成果物を作るための仕組みです。その中で課題になったのが、Codexにどこまで実際の変更作業を任せるかでした。

最初に考えていたのは、「Codexへ慎重な指示を出せば、安全に実装できるのではないか」というものでした。

しかし、Claude Codeに構造をレビューさせると、別の問題が見えてきました。どれだけ指示を細かくしても、同じAIが変更を作り、そのまま原本へ反映できる構造である限り、事故の可能性は消えません。

AIを絶対に間違えないようにするのではなく、間違えても原本へ届かないようにする。

その結果、作業を三つに分けました。

  1. 隔離された環境で変更案を作る
  2. 差分を人間と別のAIが確認する
  3. 承認された変更だけを別の権限で反映する
Yamane OSにおける変更生成、差分保存、レビュー、承認、適用の安全モデル
図2:作る、確かめる、反映する。それぞれの権限を分ける。

安全性は、プロンプトではなく構造で作る

BEFORE

  • AIに慎重な指示を出す
  • 一つのAIに作成と確認を任せる
  • 正しく動くことを重視する
  • プロンプトで事故を防ぐ

AFTER

  • 間違えても原本へ届かない構造にする
  • 作成、レビュー、反映を分ける
  • 間違っても戻れることを重視する
  • 権限と工程で事故を防ぐ

最初の問いは、「Codexにどう指示すれば安全に作業できるか」でした。最終的な問いは、「Codexが間違えても、なぜ事故にならないのか」へ変わりました。

AIの性能や注意深さに期待するのではなく、仕組みの側で安全性を担保する。実装するAIと、構造を疑うAIをぶつけたことで、問いそのものが変わりました。

AIに答えを出してもらうのではなく、議論を起こしてもらう

一つのAIに案を作らせる。別のAIに、その案の弱点を指摘させる。指摘をもとに、最初のAIへ修正させる。最後に、自分がどちらの主張を採用するか決める。

この往復によって、最初に自分が考えていた案よりも前提が明確になり、判断理由も説明できるようになります。

自分に似たAIが一体いるだけでは、考えが補強されるだけで終わる可能性があります。そこで、役割や視点の異なる複数のAIへ、同じ自分の考えを渡します。

自分の仮説を複数のAIが具体化、反証、修正し、人間が判断する思考ループ
図3:AIの往復で答えを決めるのではなく、人間の考えを更新する。

AIを使って変わったのは、作業速度より考え方だった

AIを使うメリットとして、作業時間の短縮がよく挙げられます。確かに、コードを書く速度も、資料を整理する速度も上がりました。

ただ、私にとって最も大きな変化は、作業が速くなったことではありません。考え方が深まったことです。

以前なら、自分の中で一度筋が通れば、そのまま進めていたかもしれません。いまは、別の視点から反論を出させ、実装上の問題を確認し、もう一度考え直せます。

AIは、答えを受け取るためだけの道具ではありません。自分の考えを外へ出し、ぶつけ、組み直すための環境にもなります。

どちらが優秀かを決めなくてよい

大事なのは、一つの万能なAIを探すことではありません。それぞれに役割を持たせ、意見が食い違う状態を意図的に作ることです。

私がCodexとClaude Codeに期待しているのは、仕事を代わりに終わらせることだけではありません。同じ私の考えを持ちながら、違う個性でぶつかり合い、私一人では出せなかった考えを生み出すことです。

どちらが優秀かではなく、どこで任せ、どこでぶつけるか。そこを設計することが、AIを使う人間の仕事です。

TOOLS USED IN THIS ARTICLE

この記事で使っているツール

Codex

コードの実装、ファイル変更、差分作成、テスト、修正に使っています。

公式サイト ↗

Claude Code

情報整理、設計レビュー、前提確認、反証、リスク整理に使っています。

公式サイト ↗

Warp

CodexやClaude Code、各種コマンドを扱うターミナル環境として使っています。

Warpを試す ↗

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